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狩野モデル:品質の種類と満足度の関係

品質は一律ではない。魅力的品質・一元的品質・当たり前品質・無関心品質の4分類と、それぞれの充足度→満足度の非線形な関係を示す狩野モデル

概要

「品質を高める=ユーザーの満足度が上がる」は常に成り立つわけではない。

狩野紀昭(1984年)は、品質要素の充足度とユーザー満足度の関係は、品質の種類によって非線形に異なることを示した。この分類を「狩野モデル」と呼ぶ。

投資対象の品質を間違えると、いくら作り込んでも満足度が上がらない、あるいは欠如した時だけ致命的になる、という非対称なリターンが生まれる。

4つの品質分類

品質種別充足した場合不充足の場合意味
①魅力的品質満足仕方ない(不満にはならない)あれば嬉しいが、なくても当たり前と受け取られる
②一元的品質満足不満充足と不満足が対称に満足度に影響する
③当たり前品質当たり前(満足にはならない)不満充足しても加点なし、欠如すると大きな減点
A無関心品質無関心無関心充足しても欠如しても満足度に影響しない

グラフの読み方

縦軸がユーザーの満足度(満足〜不満)、横軸が物理的充足状態(不充足〜充足)を表す。

  • 魅力的品質:充足に向かって満足度が急激に上昇する上向き曲線。不充足側はほぼ横ばい(不満にならない)
  • 一元的品質:充足と不満足が直線的に比例する右上がりの直線
  • 当たり前品質:不充足側で急激に不満が増すが、充足しても満足度はほぼ上がらない下向き曲線
  • 無関心品質:どの充足状態でも満足度はゼロ付近の水平線

ソフトウェア開発への応用

品質投資の方向を誤らないために

状況投資すべき品質種別
競合との差別化を狙う①魅力的品質(まだ競合が持っていない機能・体験)
基本機能の安定改善②一元的品質(応答速度、精度など)
最低限の信頼確保③当たり前品質(クラッシュしない、データが消えないなど)

当たり前品質の罠

当たり前品質は充足しても誰も褒めないが、欠如すると信頼を一気に失う。セキュリティやデータの整合性がその代表例。ここへの投資は「リスク管理コスト」として捉えるのが正しい。

魅力的品質の時間的劣化

魅力的品質は時間経過で当たり前品質に変化する。かつて差別化要因だった機能が、競合が追いつくことで「あって当然」になる。

スマートフォンのタッチスクリーン操作は登場時は魅力的品質だったが、今は当たり前品質。

関連概念

出典: 魅力的品質と当たり前品質、品質/日本品質管理学会、Vol14、No2、p39-48、1984