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データアナリストエージェント:数字を見る前に、問いを固定する
データアナリストの仕事を、問いの設計・SQL・集計・可視化・異常検知・意思決定支援へ分解する。
データ分析を分解する
データ分析は、SQLを書いてグラフを出す仕事だけではない。最初に「何の判断に使う数字か」を固定し、データの定義、欠損、粒度、比較対象をそろえる仕事である。
| 分解した能力 | AIの役割 | 成果物 |
|---|---|---|
| 問いの設計 | 経営や施策の問いを分析可能にする | 分析設計メモ |
| データ理解 | テーブル、定義、粒度を確認する | データ辞書メモ |
| SQL/集計 | 必要な集計を作る | クエリ、集計表 |
| 可視化 | 比較しやすい図表を作る | ダッシュボード案 |
| 異常検知 | 急変、欠損、外れ値を見つける | 異常アラート |
| 解釈 | 結果と限界を分けて説明する | 分析レポート |
Role
基本ロールは「分析設計・集計補助エージェント」とする。
- 分析問いを明確にする
- SQLや集計案を作る
- データ定義のズレを検出する
- グラフとレポートを作る
- 分析結果の限界と追加確認を出す
施策判断、会計・税務判断、個人の評価、信用判断、医療・金融判断は人間に戻す。
Tools
| Tool | 用途 |
|---|---|
| DWH/DB | SQL実行、集計、データ確認 |
| BI | ダッシュボード、グラフ、定期レポート |
| 表計算 | 軽量分析、比較表、手元検算 |
| データカタログ | テーブル定義、指標定義の参照 |
| CRM/広告/CS | 営業、広告、顧客データの確認 |
| Git/ノートブック | クエリ、分析履歴、再現性の管理 |
Thinking
| 思考法 | チェックする問い |
|---|---|
| 問い先行 | 何を判断するための分析か |
| 指標定義 | 分母、分子、期間、除外条件は明確か |
| 比較可能性 | 前月、前年、施策前後で比較できるか |
| 因果と相関 | 原因と言い切っていないか |
| データ品質 | 欠損、重複、外れ値はあるか |
| 再現性 | 同じ結果を後から出せるか |
Output
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分析問い | 何を知りたいか |
| 指標定義 | 集計条件、期間、分母分子 |
| 結果 | 数値、グラフ、比較 |
| 解釈 | 言えること、言えないこと |
| データ品質 | 欠損、重複、注意点 |
| 次アクション | 施策、追加分析、確認 |
KPI
- 定義済みKPI数
- 再利用可能なクエリ数
- 分析依頼から初回回答までの時間
- 指標定義ミスの検出数
- ダッシュボード未更新数
- 分析結果が意思決定に使われた数
エスカレーション
- 個人評価、与信、採否など個人に不利益が出る
- 法務、会計、税務、医療、金融判断に使われる
- データ定義が曖昧なのに強い結論を出しそう
- 個人情報や機密情報を扱う
- 数字が経営判断に大きく影響する
発生しうる業務
| 頻度 | 業務 | AIに任せる粒度 |
|---|---|---|
| 日次 | KPI異常検知、データ欠損確認 | アラート |
| 週次 | ファネル、広告、営業、CSレポート | 週次分析メモ |
| 月次 | 経営KPI、コホート、予実分析 | 月次レポート |
| 随時 | 施策検証、SQL作成、ダッシュボード作成 | クエリ、可視化案 |
学習方法
| 学習材料 | 学ぶこと |
|---|---|
| データ辞書 | テーブル、カラム、指標定義 |
| 過去分析 | よく使う切り口、比較軸 |
| 意思決定ログ | どの分析が使われたか |
| データ品質事故 | 欠損、重複、定義ミス |
| ダッシュボード利用履歴 | 見られる数字、見られない数字 |
能力の磨き方
- 人間が直したSQL差分を学習材料にする
- 定義ミスをチェックリストに戻す
- 分析結果が施策に使われたかを記録する
- 外れた解釈を、相関と因果の誤りとして分類する
- 月1回、使われないダッシュボードを削る
作り方
- 指標定義書を作る
- 読み取り専用DB接続から始める
- クエリには目的、期間、定義をコメントで残す
- 重要数字は人間または別クエリで検算する
- 個人情報を最小化する
- 分析レポートに限界と未確認を必ず入れる
作れない場合は、「SQL下書きbot」「KPI異常検知bot」「ダッシュボード案bot」「分析解釈bot」に分ける。
最小実装
最初から自律実行させるのではなく、読み取り、下書き、承認付き更新の順に広げる。データアナリストエージェントの最小実装は、問い、SQL、集計、可視化、異常検知、解釈を支援するための「入力を読む場所」「出力を残す場所」「人間が承認する場所」を固定することである。
| 層 | 最小構成 |
|---|---|
| 入力 | DWH、BI、表計算、データカタログ、CRM/広告/CS、ノートブックから読み取り専用で参照する |
| 処理 | 事実、推測、未確認、次アクションを分けて整理する |
| 承認 | 外部送信、重要判断、台帳更新、金銭・契約・人事に関わる操作は人間承認にする |
| 記録 | 出力、採否、修正理由、次回改善点を同じ場所に残す |
入力データ
- 分析問い、判断したい施策
- テーブル定義、指標定義、期間
- SQL、集計結果、ダッシュボード
- 欠損、重複、外れ値、権限条件
入力データには、取得日、参照元、更新者を残す。古い情報や未確認情報を混ぜると、AIはもっともらしいが危ない判断を出す。
出力フォーマット
| フィールド | 内容 |
|---|---|
question | 分析問い |
sql | クエリ案 |
definition | 指標定義 |
chart | 可視化案 |
interpretation | 言えることと言えないこと |
unknowns | 未確認事項、追加で人間が見る点 |
human_review | 承認者、判断期限、エスカレーション条件 |
この形式で残すと、後から「AIが何を見て、何を出し、人間がどこを直したか」を追える。
サンプルプロンプト
あなたはデータアナリストエージェントです。
目的は「問い、SQL、集計、可視化、異常検知、解釈を支援する」ことです。
入力:
- 対象: [対象名]
- 参照データ: [参照元]
- 期限: [期限]
- 制約: [承認条件、禁止事項、守るべきルール]
指示:
1. 事実、推測、未確認事項を分けてください。
2. 出力フォーマットに沿って整理してください。
3. 判断できない点を無理に結論づけず、human_reviewに戻してください。
4. 外部送信、重要更新、金銭・契約・人事に関わる操作は実行せず、承認依頼にしてください。
出力:
- 要約
- 構造化データ
- 次アクション
- human_review
ワークフロー
- 分析問いを固定してからSQLを書く
- 指標定義と粒度を確認する
- 集計結果を比較可能な形で可視化する
- 因果断定や個人評価は人間に戻す
この流れを固定すると、AIは単発の相談相手ではなく、業務の一部として改善できる。
失敗パターン
- 定義違いの数字を比較する
- 相関を因果として説明する
- 個人情報を不必要に出す
失敗パターンは、禁止事項としてプロンプトに入れるだけでは足りない。出力レビュー時に「今回どの失敗に近かったか」を記録し、次の入力データや評価基準へ戻す。
評価ルーブリック
- 指標定義が明確
- クエリが再現可能
- 解釈に限界が書かれている
- 事実、推測、未確認が分離されている
- 人間に戻すべき判断がhuman_reviewに出ている
5段階評価にする場合は、3を「人間が軽く直せば使える」、4を「そのまま業務で使える」、5を「次回のテンプレートに採用できる」と定義する。
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出典: O*NET Data Scientists / Business Intelligence Analysts